I ♥ Vietnam Vol.4
- バッチャン焼を訪ねて
- 現在ではベトナムの名物土産の一つともなっているバッチャン焼。アジアならではの素朴な佇まいに、惹かれてしまう人も多いのではないでしょうか。今回は、ベトナミーズの精神を色濃く残すバッチャン焼の魅力を紹介。受け継がれる伝統的な絵柄に隠された、心温まるメッセージとは?

I ♥ Vietnam Vol.4
バッチャン焼きの歴史は15世紀頃から。
10世紀には既に陶磁器が作られていたと言われていますが、15世紀に入ってから、ベトナムでは交易が盛んに行われたため、多くのバッチャン焼きがアジア、西洋に輸出されました。
当時の日本でも「安南焼」の名で、名だたる茶人に愛されたと言われています。
バッチャン焼きというのはそもそもバッチャン村で 作られた陶器だということはご存知でしたか?
言い換えればバッチャン村以外で作られた陶器はバ ッチャン焼きとは呼びません。悪質なお土産屋では、ただの陶器をバッチャン焼きだと言って売り付ける輩もいるようなのでご注意ください。
バッチャン村は北部ハノイ中心から約10キロほど南東に下った場所にある小さな村です。バッチャン村に住む9割以上の住民は陶器を作っており、買い付けに来ている業者もちらほらとうかがえます。
ハノイに訪れた際は是非足を運んでみてください。
現在のバッチャン焼きには非常に豊富な種類があります。湯のみ、醤油瓶、マグカップ、カップ&ソーサー、茶碗、急須、大小の皿。
「これは日本人しか使わないだろう(笑)」と思ってしまうようなとっくりまであります。
また、絵柄も多彩で竹、トンボ、金魚、菊、蓮など職人の技巧の業が垣間見えます。お土産ショップで売られているバッチャン焼きのほとんどは上記いずれかの絵柄となります。
ベトナムを象徴する花、「蓮」。蓮には豊作・豊穣という意味のほか、「蓮は泥より出でて泥に染まらず」という中国の成句にもある通り、泥沼から生じるにもかかわらず、美しく良い香りを放つ姿から、「清らかさ」の象徴とされています。
ベトナムには、蓮にまつわる多くの詩や民話が残っています。なんでも蓮の花は、災難に見舞われ川に身を投げた姉妹が、湖の神に匿われた末に親元へ返される際、別れを惜しんだ湖の神が咲かせた花なんだとか。
困難を乗り越えるパワーにあやかれるかも?
トンボが低く飛ぶと雨が降る――――。古来から伝わる日本のことわざですが、実はこれ、ベトナムも同じ。しかしこちらでは特に「幸運をもたらす」と認識されているそうです。
やはり日本と同様、稲作が盛んな国だけに、雨は恵みの象徴なのかもしれませんね。
バッチャン焼のデザインとしては大定番の、親しみやすい柄です。
ベトナムの花と聞いて、私たちはやはり蓮を思い浮かべがちですが、現地には蓮に負けないくらい愛されている花があります。それが「菊」です。
菊は蓮と同様、豊作・豊穣の象徴で、バッチャン焼のデザインとしては馴染み深いもの。日本人もよく知る花とはいえ、仏花などあまり明るいイメージではないですよね。なぜベトナムの人々は、菊を愛し、盛んにデザインしたのでしょうか?その答えはやはり、古い言い伝えにありました。
ベトナムに伝わる「菊の花伝説」は、ベトナムで知らぬ人はいない有名な伝承。余命が短い母を嘆いた娘が、国王に救いを求めたところ、「菊の花を大切にしなさい。菊の花びらの数だけ母親は生き延びるだろう」といわれたことから、菊の花を大切に育て、母親の命を救ったというものです。
ご両親やパートナーなど、健康でいてほしい方へのプレゼントにピッタリですね。
ベトナムの台所には「かまどの神様」を祀った神棚があり、毎年旧正月前に、その神棚に金魚を供えるのだそうです。かまどの神様はその金魚(一説には鯉)に乗り、この一年、家族にどんな出来事が起ったのかをご先祖さまに伝えにいくのだとか。トンボと並び、幸運をもたらすと信じられているのも頷けますね。
金魚モチーフのバッチャン焼は淡いグリーン地であることが多く、赤い金魚が映えとても色鮮やか。
バッチャン焼のデザインの中でも特に目を引きます。
かつて日本人がそうだったように、ベトナムにおいてもなくては ならない「竹」。その丈夫さ、柔軟さから様々な用途に使われています。その利用範囲たるや、何かを作る際にまずは「竹をどうにかできないか?」と考えているのでは?と思うほど。
竹は家具を始め、籠や箒、器などの生活用具、楽器などの娯楽・ 仕事道具など様々に形を変え、人々の生活に寄り添ってきました。実はバッチャン焼の絵付け道具としても使われているんですよ。
器が焼き物に代わっても竹柄にするなんて、竹に対する尊敬や愛着が感じられますよね。
いかがでしたか?
ベトナムの文化やソウルを感じられるバッチャン焼。機会があれば是非バッチャン村まで直接足を運び、お気に入りの1点を見つけてみてください。